むぎがいなくなった。
私がむぎと一緒にいるところを見たことある人は、わかってくれると思うけど
私は本当にむぎが大好きだったし、深く結ばれていたと思う。
むぎとの出会いは屋久島がきっかけ
屋久島は私に初めて「目に見えない世界がある」と感じさせてくれた場所で
むぎはそれを身をもって示してくれた猫だった。
そんなむぎが、ある日忽然と姿を消した。
丸一日家に帰って来なかったのは、怪我をしてた時、一日だけだった。
その日はむぎが夜になっても帰って来なくって、朝になっても帰って来なくって、
そんなことは初めてだったので、心配で心配で苦しくて苦しくて、
「むぎ!ホンマにホンマに心配やねん!!お願いやから帰ってきて!」と
真剣に心の底から、どこかにいるむぎに向かって話しかけたら
その途端、ケガした脚を引きずって帰ってきてくれた。
むぎは、そんな猫だ。
私が話しかけたこと(声に出さなくても)わかってくれる。
そんなむぎがいなくなった。
夜になっても、朝になっても、夜になっても、朝になっても。。。
全く帰ってくる気配がない。
月がいなくなってから、むぎにはいつも
「むぎは最後まで私と一緒にいてね。むぎは私の守り神様なんやから」と
ことあるごとに伝えてきていた。
だから、急にいなくなってしまうなんて、信じられなかった。
ちょうど読んでいた小説が、バリ島が舞台で、バリで行方不明になった女性を
友だちが日本から探しに行くお話で、結局その行方不明になった女性は、
螺旋の描くココとは違う次元に行ってしまったというような 不思議な結末だった。
それを読み終えた朝に、むぎがいなくなったので 頭の中には、
バリの違う次元に行くという螺旋がぐるぐるとしていたので
これは現実なのか何なのか、不思議な感覚だった。
何日か待ち続けた。 しかし、全く帰ってくる気配はなかった。
一体何日経ったんだろう。。とカレンダーを眺めて愕然とした。
むぎがいなくなった 5月31日
「むぎのときいたる」と書かれてある。
な、なに?これ?? どういうこと?
むぎのときいたるって何?
「むぎのときいたる」 秋麦至
七十二侯のひとつ、むぎの実が熟して収穫の頃
と書かれている。
え? むぎは何者?なんで「むぎのときいたる」なんて、古い暦知ってるん??
私もそんなん知らんかったのに。。
言葉のとおり
むぎの決意を、選んだ道を、つきつけられた。
むぎ完全に、もうこの世界にもうおらんやん。。泣
月(犬)に続いて、むぎまでそんな急にいなくなるなんて!!
そんなことある??
むぎがいないのなんて、諦めきれない。
むぎは私の家族だ!!
青に 「むぎにも絶対帰ってきてもらおうな!」と言ったら
「ゆっくり待ってて〜」と言った
え?耳を疑った。そんな言葉ハッキリ喋れたっけ??
当時1歳8ヶ月 まだそこまで話せず、
聞き覚えた簡単な言葉を反芻しているだけの状態の青がはっきりと言った
「ゆっくり待ってて〜」
え!?こんなセリフ誰から聞いたん!?
むぎが言ってたん!?と聞き直したら ニヤっと笑って
「ゆっくり待ってて〜」とまた言った。
ゆっくり待ってて〜は、その二回だけ。
その後まったく口にしなかった。
むぎが、青に伝言を頼んだと信じて、
私はまたどんなカタチでか、むぎに再会するのを待っている。